バセドウ病・橋本病とヨウ素

投稿日:2011年3月28日|カテゴリ:院長コラム

震災により私たちの生活は甚大な被害を受け、復興がいつから軌道にのっていくのか今はまだ不透明ですが頑張って参りましょう。
バセドウ病と橋本病は甲状腺における代表的な疾患です。本来は細菌やウイルスなどの外敵から体を守るための免疫が、自分の甲状腺に影響してしまうことによりおこる病気で、遺伝的要因に環境要因が加わって起こる病気です。
バセドウ病にかかると多くは甲状腺ホルモンが多く血液中に出て、汗をかいたり、動悸や手の震えや、眼球がでたりすることもあります。
一方、橋本病は甲状腺の機能の低下の原因として最も多く、甲状腺ホルモンが少なくなり、手足のむくみやだるくなることがあります。
甲状腺の病気を診察していますと、ヨウ素をどうしたら良いのですかと食生活のことをよく尋ねられます。海藻類にふくまれるヨウ素は体内で甲状腺ホルモンを 合成するための材料の一つです。(図1)しかし、ヨウ素を摂取しなければバセドウ病が治りやすいというわけではありません。ただ過剰摂取はしない方が良い です。ですから毎日昆布だしを使ったり、昆布を食べたりするのは避けるべきですが、風邪をひいたときにイソジンなどのうがい薬を使うことは問題ありませ ん。
橋本病も同様にヨウ素の過剰摂取が発病要因ですが、甲状腺機能がコントロールされていれば、あまり神経質になる必要はなく、現在の食生活で摂取しているヨウ素の量で問題ないということになります。下記に参考までヨウ素を含む食品目をあげます。(表1)
放射線被ばくによる甲状腺への影響も最近懸念されていますが、過去に原発事故があったチェルノブイリは日本と異なり、元来ヨウ素不足地域でした。チェルノ ブイリ原発事故(1986年4月)で小児が被ばくすると甲状腺がんの頻度が高くなることが報告されており、我が国でも乳児の飲用水についてとくに注意喚起 がされています。また食物連鎖にも対策がとられています。ただチェルノブイリ周辺でも事故翌年以降に生まれた子に甲状腺がんは発症していないそうで (2000年の調査)、放射性ヨウ素が比較的短時間で分解し長期的に残存しないためといわれています。

(図1)

甲状腺ホルモン(T3、T4)の構造式を示されるように、体内で甲状腺ホルモンを合成するにはI(ヨウ素)を必要とします。

(表1)ヨウ素を多く含む食品

1食の標準量
ヨウ素含有量
昆布の佃煮
10g
20mg
昆布巻き
10g
20mg
とろろ昆布
5g
9mg
ヨード卵
1個
0.5mg
ひじき
7g
2mg
のり
1枚 2g
0.12mg